乗鞍岳(3026m)

1994.7.28〜29
28日:畳平〜剣ヶ峰〜白雲荘(泊)
29日:畳平〜肩ノ小屋〜位ヶ原山荘〜冷泉小屋〜三本滝〜鈴蘭橋〜国民休暇村前

(この文章は、1994年当時にまとめたもの)
 植物好きの友人と、高山植物を見るため乗鞍岳に登る。
 青春18きっぷを利用して電車で岐阜県側の飛騨高山まで行った。夜行列車は混雑していて、床に寝ていたということもあり結構疲れた。やはり混雑していたバスにようやく乗り、平湯で乗り換え、畳平に到着する頃には辺りの植物は、少数のハイマツぐらいしか見当たらなかった。畳平の標高は2702mで、すぐ近くの岐阜・長野両県の県境は日本の車道最高所(2710m)となっている。それほどの高地なため高山植物が豊富で、それらの美しさにただ見とれるばかりであった。この日は天気はあまり良くなかったが、乗鞍岳を往復した。そして畳平の「乗鞍白雲荘」に宿泊した。
 翌日は、大黒岳に登ったあと、乗鞍高原に下山した。
 

乗鞍で見られた高山植物
  • ウサギギク

  •  まず最初に目についたのが、ウサギギクであった。花そのものは小さなものであるが、鮮やかな黄色が周囲の風景に調和して、大変美しかった。また、この花は小さいとはいえ、ヒマワリのそれに似ていて、植物音痴の私にもすぐに覚えられた。
     私たちが見たのはバス停の近くの池の周辺が最初だったが、その後もあちらこちらで見かけられた。高山植物の本にも、「登山道の脇の礫地や雪渓の周辺の草地に大群落を作っている」とあり、本州や北海道の高山、高地の多くで見られるという。皆さんも、このような山にでかけたとき、ふと立ち止まって周囲を見渡せば、夏の真っ青な空や季節を感じさせない真っ白な雪渓などと見事にマッチしたウサギギクの派手な姿をみつけることができるだろう。
     ところで、このウサギギクという名は、ヘラ形をした毛の多い葉をウサギの耳にたとえてつけられたという。そう言われてみると、確かに葉がウサギの耳に似ている。花ばかり見ていたので全然気が付かなかった。なんとも可愛らしい植物である。
     
  • ヨツバシオガマ

  •  これもやはり畳平の周辺に多く見られた。畳平は駐車場やバス停、土産屋、山小屋などがあり、とても高山とは思えない。でも、バスを降りて少し歩いただけでこのような植物に出会えるのだから、すごい所である。この植物はゴマノハグサ科シオガマギク属の植物で、葉が茎に4枚輪生していることからこの名がついている。よく見てみると、驚いたことに茎の同じ高さの部分から4枚の葉が出ていた(扇風機の羽根を正面から見た感じ)。こんな植物は初めてだ。花は淡いピンク色で、地面からすくすくと伸びた茎の先に咲いた花はまた美しかった。本州のものは20cm程度の背丈であるが、北へ行くほど背丈が高くなり、北海道の礼文島のものになると、50〜60cmほどの高さにもなるという。この植物も高山へ行くと、あちこちで見られるらしい。
     
  • コマクサ

  •  高山植物の王様と言われるコマクサは私も一度でいいから見たいと思っていた。しかし、この乗鞍で見られるとは思わなかった。実は乗鞍岳の頂上から南東側に下ったところに大群落地があるのだが、時間の都合上、そこへは行くことができなかったからだ。山頂を往復したとき、遠くの砂礫地が少しだけピンク色に染まっているのを見つけた。コマクサだ!でもそこは立ち入り禁止になっている。
     間近で見るのは半分諦めかけていたが、翌日、景色を眺めに畳平の近くの大黒岳に登った時、夢は実現した。途中の砂礫地に一面コマクサが生えていた。しかも立ち入り可能。この目でじっくりとその可憐な形容を眺めさせてもらい、更にコマクサと一緒に写真を撮ってもらった。本当に言うことなしという感じであった。
    乗鞍でのコマクサ

     また大黒岳からの眺望もすばらしく、北アルプスの槍・穂高、中央ア、南ア、八ヶ岳、浅間、白山(これは畳平から見えた)などの山々がはっきりと確認できた。

    交通
    28日:つくば〜横浜(大垣夜行)岐阜(JR)美濃太田(JR)高山(バス)平湯温泉(バス)畳平
    29日:国民休暇村(バス)新島々(松電)松本(JR)甲府(JR)大月(JR)高尾(特快)東京〜つくば

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